武士と貴族 武士は合戦、貴族は公事の分業
武士と貴族は対立し交替するものではない。そもそも、清和源氏や桓武平氏は四位・五位の官位を持ち、受領として徴税にあたる軍事貴族である。上級貴族の公卿に対して、下級貴族の諸大夫は学問・管弦・武芸といった専門職として政府の一環を担う。
天皇・上皇や公卿は公事を行い、武士は合戦を行う。これは分業であって、天皇や公卿が武力を行使することはタブーである。
武士の対語は文人であって、公卿・武士・文人が貴族身分を構成する。社会を大きく分断する身分は、貴族(公家・武家)と庶民。貴族は武士を心ある者(理解しあえる者)と考えていたが、庶民は心なき者(理解できない者)であった。