日本史オンライン講座 秦野&松本

大学講師秦野裕介と高校教師松本恵司のコラボによる日本史オンライン講座。秦野先生が解説する「研究者と学ぶ日本史」、そこで学んだ知識を高校生向けにアレンジして松本が作った「高校生のための日本史」があります。
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源実朝の政治的センス(皇族将軍構想)

近年、源実朝の将軍としての政治力の見直しがすすみ、教科書にも「後鳥羽上皇との連携をはかっていた」と記述されるようになっています。

教科書や用語集で実朝に関する記述の書き換えが行われたのは2010年代後半です。私が市民講座で使っているパワーポイントも、修正しておこうと思い、坂井孝一著「承久の乱」(中公新書)を買ってきました。2018年12月初版の最新版です。読んでいくと、源実朝が提唱した皇族将軍構想が記述されていました。将軍が提唱して幕府で審議し、北条義時や大江広元も同意、北条政子が上洛して交渉にあたりました。後鳥羽上皇と北条政子は頼仁親王の鎌倉下向で合意しています。

「承久の乱」を読みながら、実朝の皇族将軍構想をパワポにしていて、良くできたスキームだと思いました。後鳥羽・実朝・義時・御家人、すべての人がウィン。この構想を考案し、幕府有力者の同意を得、北条政子と後鳥羽上皇の交渉で親王の下向で合意するところまで実行したのですから、源実朝の政治的センスはなかなかのものです。

高校で日本史を教えていた1980年代、源実朝は「北条氏の操り人形」のような将軍というイメージで、後鳥羽上皇は実朝に官うちをしかけたなどという説が有力でした。しかし、後鳥羽上皇と源実朝が連携していたとすると、官うち(位うち)などということはあり得ません。後鳥羽は実朝を支援するために右大臣に昇進しさせたのです。日本史の研究は日進月歩、高校や市民講座で日本史を教える私も、研究の進歩についていかなければと思いました。

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2019.11.12 Tuesday