日本史オンライン講座 秦野&松本

大学講師秦野裕介と高校教師松本恵司のコラボによる日本史オンライン講座。秦野先生が解説する「研究者と学ぶ日本史」、そこで学んだ知識を高校生向けにアレンジして松本が作った「高校生のための日本史」があります。
 090-5016-4520
お問い合わせ

羽織袴とモーニング てまきねこ2018.06

卒業式で校長が着用する上が黒で下が灰色の服をモーニングという。個人的な好みでは「カッコ悪い」の一言で、娘の結婚式のときは羽織袴にした(レンタル料が高かったが)。羽織袴で卒業証書を渡す校長もおり、二つの服装は同格であるらしい。

正装が洋服になったのは、明治4年、服制改革の内勅からである。「唐制を摸倣したので軟弱」であるから武勇を重んじる服装に変えるという。たしかに神武天皇や神功皇后の衣服は和服より洋服に近いといえないこともなく、復古を近代化の理由づけにしたのだろう。

唐制を模倣したというのは、820年に嵯峨帝が天皇の装束を定めた詔をいう。このとき、新年の朝賀は中国の皇帝スタイルで色は赤、政務は赤みがかかった黄色、神事は従来どおりの白と定められた。皇帝スタイルは幕末の孝明天皇まで続き、赤みのある黄色は今も天皇の色とされている。

江戸時代の武士は直垂が第一礼装、羽織袴が第二礼装であった。明治時代、第一礼装は燕尾服、第二礼装はモーニングと羽織袴に変わったので、結婚式の父親はモーニングか羽織袴なのである。なお、勲章規定で上位の勲章は燕尾服に限定されている。

世界の指導者の礼装を見ると、オバマやプーチンはタキシード、トランプはスーツ、習近平は孫中山スタイルの立襟で、ネットで見るかぎり燕尾服などは着用していない。

日本が面白いのは、政務は唐風・洋風と時代に合わせて異国の服装を導入したが、神事は白の和装に固執していることで、今も巫女は白を着る。いつも思うのは内閣の写真。女性はカラフルなのに男性はすべてモーニング。意識が時代に遅れているのでは。

 

670文字のエッセイ一覧

2019.11.12 Tuesday